いつも疲れやすい、だるい、と悩んでいませんか?
疲れやすさの原因が貧血、の場合があります。
「貧血って何を食べればいいの?」と言う方は↓へ。
鉄摂取で貧血が改善しないのはたんぱく質不足?肉・魚も摂りたい理由
この記事では、栄養改善で様子を見て良い貧血と、原因を調べた方がいい貧血の見分け方をご説明します。
次に、貧血が体になぜ、だるさをもたらすのか、
ほかにどんな影響を及ぼすのか
を説明します。
パフォーマンス向上を目指すあなたにとって
放置して良い?
かどうかを考える材料に
していただければいいなと思います。
最後に、程度が軽くても、貧血の背景には過多月経など婦人科系の異常があることをお知らせし、
対処法も合わせてご説明します。
この記事を読んだら、貧血の対応、
どうしよう?
と悩まず、
行動できるようになります。
Contents
1 貧血の見分け方
1−1 検査結果で見る貧血の有無
貧血の有無は、血液検査で赤血球やヘモグロビン、ヘマトクリットの数値を見ればすぐにわかります。
「顔が真っ白〜まっさおになって朝礼で倒れる」のが貧血、と思っている方もまだいらっしゃるかと思いますが、これはいわゆる「脳貧血」で、血の巡りが悪くておこる症状。貧血とは、ヘモグロビン濃度が薄い状態のことです。
貧血かどうかは、血液検査の結果数値を見るのが、確実です。
ヘモグロビン、Hb、血色素濃度、は同じ意味の言葉です。
念のため、HbA1c (ヘモグロビンエーワンシー)は、血糖値の状態を見る検査です。お間違いのないように。
貧血の基準(WHOによる)
ヘモグロビン濃度(g/dL) | |
15歳以上の女性、学童 | 12未満 |
乳幼児、高齢者、妊婦 | 11未満 |
15歳以上の男性 | 13未満 |
1−2 貧血の程度
貧血の程度もお示ししましょう。
(病状、施設により変わるので目安)
貧血の程度 | ヘモグロビン濃度(g/dL) |
大変重い | 5〜6.9 |
やや重い | 7〜9.9 |
要改善 | 10〜11.4 |
10未満の場合は、「貧血です。原因を調べましょう。」と言われると思います。そして、原因が鉄欠乏性貧血であれば、治療開始、となります。
7未満であれば、顔色にも現れたり症状が出ていることが多いです。
「貧血ですよ、気をつけてくださいね」と言われるのは、だいたい10〜11くらい。そして、このくらいの方は、放置されやすく、ご本人も自覚がないことが多くなっています。
理由は、検診のたびに数値が変動するので、「今回はたまたま。」「ま、いいか。」となりがちだからだと思います
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2 だるさの原因は睡眠不足だけではなかった
2−1 貧血の影響はこんなところにも
「倒れなければ大丈夫」と思って貧血を放置している人にぜひお知らせしたい事があります。
貧血はパフォーマンスに悪影響を及ぼします。
なぜなら、だるさや、疲れ、眠気を起こすために、
アイデアが浮かばない、
集中力が削がれる、からです。
実際に治療して良くなってから、
「あのだるさは貧血のせいだったんですね」
「面倒がらずにはやく治しておけばよかった」
と言われます。
学生時代は、血液検査をすることがなかったが、
就職してからの検診で判明する人もいます。
子供を産んでから、と言う人もいます。
「学生時代と違って、就職してから食事が不規則になった」
「子供のご飯で忙しく、自分は簡単にすませてしまう」
など、
「そういえば、食生活が悪化している」
と言う話が背景にあることが多いです。
自営業やパートで忙しく、検診を受ける機会を逃している方も、
うっかり見逃しがちです。
貧血の症状は下記のようなものがあります。
- 息切れ
- 動悸
- 肩こり
- 頭痛
- 爪がもろくなったり、変形する(スプーンネイル)
- 筋力低下
- 疲労感
- 食欲不振
- 不妊
2−2 貧血の症状はなぜ起こるか
貧血の人は、体内の細胞の働きが悪くなります。
なぜなら、体内が酸素欠乏状態になるからです。
身体を形作っている細胞は、酸素によって、化学反応を起こし、エネルギーを取り出して動いています。
食事をした後の胃、
消化液を出す膵臓や肝臓、栄養を吸収する腸、
運動中の筋肉、
活発に活動している時の脳、
遅刻しそうで走った時の心臓も
全て、
いつもより活発に動こうとする時は
血管を拡張させ、
エネルギーを産生するミトコンドリアや
運び手の赤血球を
増やして対応しています。
脳細胞も、筋肉細胞も、心筋細胞も、神経細胞も、同じです。
酸素がいらない細胞はありません。
ですから、もし酸素欠乏になれば、
「もっと多くの酸素を取り込もう!」と
全身の臓器が
一致団結して酸素摂取を増やします。
まずは、呼吸担当の肺です。
呼吸回数をあげて、肺に酸素を取り込みますが・・・
運び手である、赤血球の中のヘモグロビンが不足していると
酸素があっても運べない=吸収できません。
取り込まれない酸素は、呼気とともに、また出て行ってしまいます。
運び手の数が不足している場合は、どうなるでしょう?
運搬速度と回数をあげて
補おうとします。
運搬回数をあげるには、
赤血球が何度も肺を通過するように心拍数をあげること。
動悸が起こるのは、そのためです。
激しい運動をしていないのに息切れ、動悸が起こります。
酸素の配送員不足を回数で補おうとするもの。頑張って循環をよくしても
酸素不足は完全解消せず、また、心臓が疲れてゆっくりになると、酸素不足が常態化、細胞は活動性を落として耐える体制になります。
細胞の働きも悪くなって、しまいます。
余談ですが、アスリートの「高地トレーニング」は
この生体反応を応用したもの。酸素の薄い高地に行って必要な栄養をとりながらトレーニングすると、全身の酸素不足を補うために酸素の配送員、赤血球の数を増やします。
そして平地に戻ると、持久力が上がり、激しい運動が楽にできる体になっているというわけです。
貧血の人は、逆に機能が下がっている、と言うことですね
3 貧血の背景にある婦人科疾患とは
貧血を直そうと思って食事に気をつけているけれど、なかなか効果が現れない、という方、婦人科系の自己チェックをされていますか?
3−1 過多月経、子宮筋腫
貧血の原因には婦人科系の問題が隠れていることがあります。
なぜなら、月経は人と比べることがなく、正常と異常の区分があまり知られていないため気付きにくく放置されやすいからです。
実際には検査をしたら治療可能な病気である子宮筋腫、過多月経、子宮内膜症が見つかることがあります。
月経の正常範囲
- 25〜38日 周期
- 3〜7日 持続
- 20〜140ml 量
持続期間が長い、量が多いなど、子宮筋腫が原因にあることがあります。これは、超音波検査でわかります。
鉄の補給や、栄養バランスを整えても改善が進まない場合や、
貧血の程度が重い場合、
一度婦人科で検査を受けて、確認しておくと、対策が取れます。
3ー2 不妊
貧血は不妊の原因になると考えられています。
不妊治療をする前に、原因を検査すると貧血の人が多いことがわかっており、
理由は、鉄欠乏性貧血の人は体内の貯蔵鉄も減っているため、卵胞ホルモンや
黄体ホルモンの合成が低下し、
また、卵細胞の細胞分裂や成長が十分できない状態になるからと考えられています。
妊娠中は、胎児の細胞分裂が盛んで、鉄の必要量が増えますので、妊娠前に貯蔵鉄を十分ストックしておく必要がありますので、将来妊娠を予定する人は、あらかじめ、鉄不足を解消しておく必要があります。
妊娠には、葉酸など他の栄養状態もよくしておく事が大切です。
将来のことを考えると、
「症状がないから」と行って貧血を放置、様子見することは、
良い選択とは言えません。
程度や原因について知り、対応しておきましょう。
4 まとめ
- 程度にかかわらず、貧血の放置は損。
- 貧血により酸素不足になり、全身の活力を落とし、疲れ、だるさの原因になり、不妊の原因にもなる。
- 中〜重いときは原因究明を含め、すぐ病院へ。軽いときは栄養バランスを見直して、鉄の摂取量を増やしてみる。鉄欠乏性貧血であっても、月経の異常が隠れている事も多いし、鉄欠乏以外の別の原因もありうる。食事療法で改善しない時には一通りの検査をしておく方がよい。