withコロナの目の疲れ〜5分のケアで眼精疲労を予防しよう

新たな生活様式として、常にソーシャルディスタンスを取り、やむを得ないときはマスクをして人と会うけれども、可能な限り、直接接触を避けるように人と付き合う。

with コロナ時代となり、人との接触はなるべく間接的に、基本はオンライン対応となりました。

特にビジネス上では、特に求められない限り、オンライン対応で済ませられるようにするのが、相手への配慮を示す、丁寧な対応、という感覚に代わりましたね。

まずは、直接会う、足を運ぶ、ことから解放され、楽になった反面、意外なところに負荷が集中していることにお気づきでしょうか。

この記事では、目の疲れが増していることへの注意喚起と、すぐできる対策、を説明します。

チームマネジメントに役立てて欲しいので、視覚について何が起きているのかも含めてイメージでき、解説できるような内容にしました。

この記事を読むと、目について、そして眼精疲労による深刻な全身疲労やメンタル不調を予防できるようになります。

ご自身、そして同僚、部下、家族などチームメンバーへ、必要な配慮や対策を取ることで、withコロナ時代のパフォーマンス向上に役立つことを願っています。

1 オンラインで面談、目には過酷な事態

1−1 オンラインではリアル以上に目に頼る割合が増える

オンラインで、お客様と面談をする際、目の疲れは増します。

なぜなら、対人コミュニケーションで大切な非言語情報を、ディスプレイの映像からキャッチすることに集中しなければならないからです。
突然、オンラインが標準的なコミュニケーションになって、「目」の守備範囲は激増しました。

音声もあるにはありますが、オンラインの時にあまり頼れません。

微妙なニュアンスを伝えられるほど 音質が安定していない環境も良くありますし、音声通話だけの時とは異なり、画面共有された資料があれば、それも凝視、指示された部分に素早く視線を集め、フォーカスしなければなりません。

 直接対面した時には、チラ、チラと何度も見ますが、相手の目や顔に視線を固定することはなく、
適宜視線を散らしています。
しかし、オンラインでは、基本的にカメラに対して正面を向き、画面に映る相手や自分の顔を
しっかり見続けるのが、今の所、標準です。
目は、ディスプレイを凝視し続けます。

この動きが、目の酷使条件を作っています。

もともとコミュニケーションでは視覚情報が9割とも、6割とも言われますが、オンライン面談では、視覚情報の割合が大きいことに加え、「負担の大きな方法でみる」ことを強いられる状況にあります。

 特に、まだ信頼関係ができていない相手とコミュニケーションをとる際は
目を守るどころではありません。前後にしっかり目のケアをする時間をとってください。数分で良いので、忘れないでください。
 若い人ほど、自覚しにくく、疲れを貯めてしまいがち。疲れたな、と気づくときはかなり酷使をしているはずなので、注意が必要です。


 リアルからオンラインに移行して間がないので、実物の代わりに見ている画面が小さい分、相手は、聞いてもらっているのか心配になります。話している時に目をそらされてしまうと、あまりいい印象にならないでしょう。たとえ十分意識していないとしても、これまでの社会生活の習慣を通じて、リアルのコミュニケーションの中で、表情、ボディランゲージも含めて収集した情報をもとに、応対をしてきています。

完全なオンライン社会となり、その中で育つ子供達が大人になる頃には、眼の酷使を避けるための新しいマナーや文化、視覚情報に頼りすぎずにすむ習慣ができているかもしれません。

しかし当面は、感情の動き、相手の共感・納得度合い・興奮度などを視覚情報から取るため、眼に頼る割合が減ることはなさそうです。

1−2 目の疲れは3種

40cm以下の近さでずっと同じ距離、狭い範囲を見続ける、光刺激を絶えず浴び続ける。

これがオンライン面談に特有な目の酷使の理由でした。

この時、目の中で疲れる部位は、3箇所あります。それぞれの機能と部位を、目の中側から順に説明します

  1. 光を電気信号に変換するところ
  2. ピント合わせをするところ
  3. 視線合わせをするところ

ちなみに、ブルーベリーに含まれるアントシアニンなど、抗酸化作用のある物質は、1.と2.に効果があると言われています。

⒈ 光を電気信号に変換するところ〜網膜の細胞

網膜には入ってきた光刺激を電気信号に変える細胞があり、視細胞と言います。この細胞から、電気信号は視神経を通って脳に伝わります。

視細胞は絶え間なく入ってくる光刺激につぎつぎ反応。もどる、反応する、戻る、反応、を繰り替えし、明るいところでは0.5秒の点滅を識別できるほど早い反応をしています。

オンラインでなくても、網膜は常に使っていますが、リアルの物体は反射光を見ていますが、デバイスを見るときは、光を直接浴びるため、刺激度合いは大きく、負担は重くなります。

⒉ ピント合わせをするところ〜毛様体筋

人間の目のピントの合わせ方は、水晶体というレンズの厚みを変える方法です。
厚みを変えるのは、水晶体をぐるっと取り巻く毛様体筋という筋肉。

焦点距離をいつも一定に保ち、眼球の直径の距離でピントが合うように筋肉を緊張させて調整します。

近くを見るときは、この筋肉をぎゅっと縮ませ、レンズ自体の弾力で直径が小さくなって厚くなるように調節します。

つまり、毛様体筋は、近くを見る時に力が入るのです。この筋肉の働きは、自律神経支配であり、意識したり努力してしたりしなくても自動調整されます。

自動調整の良いところは、そこに余分な意識をせずにいられることですが、都合の悪いところは、自分では調整をやめて疲れないようにしよう、ということができないところ。
休ませるには2−3mのものにピントを合わせるか、目を閉じてしまうことです。視覚トレーニングとして一時的に、ぼーっとピントを合わせないことはできますが、普通の人は、意識をやめた途端にピントが合ってしまいます。

ちなみに、近くを見る時に活躍するのは、副交感神経です。
あれ?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。緊張・集中する時に働くのは、交感神経だったはず?
その通りです。副交換神経は、ゆったりリラックス、休養する時に活躍する方の神経。
これは昔の生活を想像すると理解できるような気がします。

3。視線合わせをするところ〜動眼筋

この、動眼筋も2のピント合わせの筋肉と同様、自律神経支配です。頭を動かしたり、首を回したり、しても一点を見続けていられる、横断歩道を歩きながら街頭ヴィジョンのニュースを読めるのは、この視線合わせの技のおかげです。

面談相手、資料やグラフ、ポインターの動き、動画、それぞれ「さあ、眼球を合わせよう」と意識することはほとんどなく、無意識に体と眼球を連動させ、見たいものに視線を向けています。

この動きは、眼球の表面で操りひものように伸縮して目の向きを変える6本の動眼筋。

電車に乗って外の景色を見ている人の目は激しく左右に動いています。

視線が動く時には、筋肉が伸縮を繰り返すので、凝り固まる暇はありません。

ところが、オンライン面談中に相手の顔を注視するときや、スマホ画面では、視線はほぼ固定します。

ここでは一度縮んだ筋肉はずっと縮み続けないと、視線が動いてしまいますので、ぎゅっと、縮みっぱなしです。

1−3 眼精疲労を侮らない。酷使の後はケアしよう

身体が疲れすぎれば、筋肉痛や、全身倦怠を感じて起き上がれなくなり、強制的に休養をとるようになっています。。

目の過労に当たるのが、眼精疲労です。

目の疲れにより、目を支配している自律神経の調整に乱れが生じます。すると眼精疲労と呼ばれる、寝てもすぐ治らない、単なる目の疲れがさらに悪化した状態になります。

こんな症状が出ます。

  • 肩こり
  • 頭痛
  • 不眠
  • 吐き気
  • 全身疲労
  • 自律神経失調

目の自律神経の支配と、現代生活はミスマッチになっています。

光を見ると交感神経は活発になり(緊張)

近くを見るには副交感神経が活発になる(リラックス)

という矛盾が生じているのです。

近くの光を見ながら、リラックスしない、という状況は、自律神経にとって不自然で負担が大きいため、毎日長時間続けるのであれば、対策が必要だ、という認識が必要です。

2 目の疲れ対策 作業環境編

ハード面の対策をあげます。

1−2でお示しした目の中の見る機能とともに、良い姿勢が保てる椅子、デスク、ディスプレイとキーボードの位置が大切です。

 視線方向の大調整〜頭の向き、首の傾き、座位なら腰から上の姿勢

が不自然な位置にならないようにするのが目的です。

国で定められた基準もありますが、より快適で作業効率が上がる数値をあげています。

  1. 机や椅子を体格に合わせてセットし、無理のない姿勢を保ちます。椅子は足裏全体が床に接する高さの座面(37〜43cmくらい)。深く座って膝と座面の間に指が入る程度のゆとりがあるのが適切です。
  2. 机は椅子に座った状態で、キーボードに手を乗せ肘が90度になる高さ(60〜72cmくらい)
  3. 気温は17〜25℃
  4. 湿度は40〜70%
  5. 湿度、温度が極端だと調整のために自律神経が疲れるからです。
  6. 明るさはデスク面が300ルクス以上、ディスプレイは500ルクス以下。
  7. ディスプレイと目の距離は50cm以上。軽く見下ろす角度。
  8. 視線が動かせるよう、なるべく大きな画面を使う。
  9. 良い姿勢を身につけておく

参考)  国から示されている基準 

3 目の疲れ対策 生活編

次はソフト面です。

まず、面談、ミーティング中、必然的に画面を見ている間、できることをあげます。

  1. 画面を注視しているときは瞬きが減りがちなので、(支障ない範囲で)まばたき、あるいはぎゅっと目を瞑ったりする。角膜表面が潤います。
  2. (支障ない範囲で)視線をうごかす。10分に一回はチラッと天井を見たり、1〜2秒壁を見たりする。窓の外を見られればなお良い。
  3. (複数人のミーティング中など、聞いているだけでいい状況になったら)ディスプレイを見ない。
  4. ミーティングを連続しない。数分で良いので、2−3mの距離にピント合わせをして、目の筋肉がリラックスするのをイメージしながら休ませる。

次にパソコンを使う作業をするときの一般的な注意事項です。

  1. ブルーライト緩和メガネを使う。
  2. 20分に一回は姿勢を変える。できれば立ちあがる。 全身を動かすことで目と目の周囲の血流が良くなります。
  3. 一時間作業を続けたら5分続けて休む。

次に日常生活の中でできることです。ぜひやってください。

  1. 睡眠時間を十分にとる。
  2. 寝る前1〜2時間は光のでる画面を見ないで済むように生活を組み立てる。
  3. 趣味が、ディスプレイで動画を見ること、の場合、仕事以外でも目を使うことになります。上記を参考に、注視しなくていいときとするときを意識した方が良いと思います。情報を取る時間も含め、ディスプレイを見る時間を決め、ダラダラ見ない、と決めておけば良いでしょう。
  4. 紫外線から目を守るためにサングラスをかける。色は薄いものを使う。色が濃いと瞳孔が開いてしまい(自分ではコントロールできません)目の中に入る光が増えるので、色は薄いものを選びましょう。お店では色の濃い方が多いように見えるので、残念です。

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次に簡単にできるセルフケアです。

血流を良くすることで、酸素を送り込み、筋肉の回復を早めます。

  1. 動眼筋のストレッチ〜〜目を閉じてゆっくり眼球を動かす。
  2. 毛様体筋のストレッチ〜〜近く(30cm)と遠く(3m)にある斧を交互に見て、ピント合わせをする。
  3. 40℃くらいの温かいタオルを目に当てて10分おく
  4. ゆっくり上を向き、首筋を伸ばし、肩甲骨を動かす。
  5. 眼鏡やコンタクトレンズは年一回は信頼できる検査と判断ができるところで合っているかを相談。必要なら作り直す。
  6. コンタクトの使い方は、適切に。眼鏡は細かい作業をするときとそうでないときで、使い分ける。
  7. ツボ押しをする。〜〜目の周囲にツボがたくさんあります。

眉毛は始まり、真ん中、終わりのところにツボがあります。

  • 攅竹(さんちく)  眉頭  のくぼみ 
  • 魚腰(ぎょよう)  眉毛  の中央(黒目の真上)
  • 糸竹空(しちくくう) 眉尻  のくぼみ

目の外回りにもあります。

  • 下晴明(げせいめい)目頭の少し下、鼻側のくぼみ
  • 瞳子髎(どうしりょう)目尻より1㎝外側のくぼみ

瞳の上、下の縦ラインに並んでいます。

  • 陽白(ようはく)  黒目(瞳)の真上、眉毛の少し上のくぼみ
  • 魚腰(ぎょよう)  黒目の真上    眉毛の中央。
  • 承泣(しょうきゅう)黒目の真下    骨の上縁
  • 四白(しはく)   黒目の真下   頬骨の高いところの少し下のくぼみ
  • 注意点は眼球を押さないようにすること。眼球に圧がかかるのは網膜剥離の原因になったりして、危険です。
  • 押す時は骨に向かって、指の腹で軽く。圧は押し続けても痛くない(痛気持ちがいい)程度にして、3秒くらい。

文字で見ると面倒そうですが、一回確認してもらうとわかる通り、眼球が入っている穴の周囲です。

指2−3本を使って同時押しも結構ですし、目の周囲の皮膚を外側に軽く弾く感じで刺激を加えても結構です。

4 まとめ

コロナと共存する、新生活様式では、オンラインでのコミュニケーションが

増えています。

この記事では、目の疲れが増えていること、目の疲れとは何か、

眼精疲労かも、と早めに気づいて、1日5分でもできる方法を含め、対処法を説明しました。
どなたにも役立てていただけると幸いです。

この記事を書いた人

木春今日子