「みんながしているから」「どうしても仕事が終わらないから」・・・・
本当はしたくないのに残業をしていて、どうしたら減らせるかを考えている方のために書きました。
Contents
1 時間外労働をしている人の状況
まずは、現状分析です。なぜ、時間外労働になってしまっているか、主な原因をあげ、簡単な対策もつけておきます。当てはまることがあれば、簡単な対策も付け加えておきますので、参考にしてください。
1-1 時間外労働の原因と個別対策
a. 業務量の増加
(1) 仕事の内容は同じで量が増えた
注文が増えた、担当件数が増えたなどです。対応は作業の効率化。一定程度の経験を積んでいるわけですから、全体の工程を見渡して、カットできる手順がないかどうか、探してみましょう。
ただし、実際に手順を変えるときはマネージャーに相談を。あなたの手数を減らすことで、別の人の手数が増え、結果的に部署全体の業務量が増えてしまう、ということもあるかもしれません。
あなたの業務を一段高いところから広い視野でみている人からみても本当に効率的な改革なら、歓迎されるはず。
そういう人がいない場合は、事情も含めて詳しい人に相談することも忘れないでください。
(2)担当業務の変更・追加があり、量が増えた
新たな事業を始めて業務内容が変わったり、別の部署から業務が移ってきたりすると、その習得や、計画立案のための時間が加わるので、一時的に必要な時間が増えます。これはやむを得ないこととはいえ、最小限にしたいもの。
前任者からの情報があれば、それをもらいつつ、心づもりしていた改善計画なども聞いておきましょう。
早期に見積もり時間を出しておき、新たな業務に取り組んでみて一定のメドがたてば、改めて優先順位をきめ、必要に応じて完了見込みを後ろ倒しする、などの現実的対策をとるため、マネージャーと相談するのも一案です。
このほか、急に休職者や退職者が出た、予定した採用ができなかった、などもあります。
人が減れば、残された人で、これまで担当していた業務を再分配することになります。
このほかに、人が増えたら増えたで教育や引継ぎ業務が発生します。
新しく入った人が業務を担えるようになるまでの、説明や指導をまかせてもらえること自体があなたの評価が一定以上という証明です。誇りに思えることでもありますが、一方で、育成スキルが不十分だと、教える方も教わる方も、大変です。
(3)昇進した
業務範囲が増えるほかに、チームリーダーという役割が加わったことをきっかけに、時間外が増えるケースは大変多いです。
(3)−1 チームのマネジメント
チームの目標、進捗管理をする必要が出てきます。はじめて、チームリーダーとなりマネジメントをすることは大きな転換点です。仕事のやり方を変えるにあたって、悪循環に陥らないよう、現実的で、無駄のない目標をさだめてすすみましょう。
最初から、指導者、あるいはコーチをもつのはおすすめです。
(3)−2 扱いにくい部下の管理
チーム内で浮いてしまう部下がいると、その人のための時間が必要になりますね。
これも、経験が増えると使える方法をいろいろ持つことができ、自信につながります。
最初から指導者、あるいはコーチをもつのは余分なトラブルを避けるためにお勧めです。
b.スキル不足
(1) 業務に関する知識が不足
これらを必要十分に身につけていないと、業務を効率よく遂行するのは困難です。
知識には文章やデータなどの資料から得られる知識(形式知)と、経験を通して蓄積する知識(経験知)があります。
専門知識もビジネスの基本知識も経験を積んで得られる経験知が入ります。
これらの知識を身につけることは、中長期的な目標にすることになります。下記に上げるそれぞれの知識は全て必要です。しかし、(1)は要領良く短期間で獲得するのが得策ですし、(2)以下は、コツコツ積み上げることで、一生物のあなたの資産になります。どこを強化すべきかは、先輩や上司の意見を聞きながら、いつまでにどのレベルまでを目標とするか、計画的に習得していきましょう。
(1)−1 その現場特有の知識
その業務をするにあたって、必要不可欠であるが、ほかの現場との共通性がない情報です。マニュアルやQ&Aがあって、プラス前任者から要点を説明してもらえば、補えるようなものから、1年くらいかけてあらゆる場合に備えてさまざまな角度から情報を蓄積するようなものまで様々です。
(1)-2 専門知識
会計、保険、システムなど、ある程度、どの会社でも共通して使える知識です。資格制度もあったり、報酬に直結するようなものも多いです。
(1)-3 ビジネスの基本知識
例えば、ビジネス文書の作り方、取り扱い方、など。パソコンでアプリを使いこなせるか、等です。
(2) 時間管理ができない
締切を守れ ない、のは、論外として、締め切りを守ってはいても、まったく余裕がない状態では、次への発展がありません。
「優先順位をつける」ためにも「必要時間の見積もり」がまずは必要です。
見積もりを作れるということは業務の目標に対して、進捗管理のための細分化ができるということです。
これまで、上司の配慮のおかげで何とか時間管理ができていた、という人は、上司からの精神的自立をきめましょう。
「締め切りまでもうすぐだよ」「今日は終わりにして早く帰りなさい」などと、上司から促されて進捗管理をし、区切りをつけていた方は、気持ちを切り替える必要があります。これからは、自分で自分のマネジメント、時間管理と業務の精度管理をする、という風に。
(3)優先順位がつけられない
優先順位をつけるためには、やるべきことを書きだすことが最低限必要です。
自分のやることすべてを、箇条書きに書きだせるでしょうか。
人によっては書きだしたものを見るだけで、優先順位を付けられる場合もあります。
次には、重要度あるいは、成果の出やすさ、などで分類するのですが、重要度を判断できない、という人もいます。
仕事の優先順位がわからない、という場合は、業務の最終目的がわからない、ということです。
キャリアアップなどのために行う職場外での自己研鑽も含めた一日の時間配分ができない、優先順位がわからない、という場合は、人生で大切にしたいこと、が何かを言語化できていないということです。
(4)ポイントがわからない
ゴールをきめ、締め切りをきめ、スピード感を決め、予測にそって仕事をしていきます。そして、完璧主義にならず、間に合わないとなったら、人の協力を得られること。
これをするためには業務の成果を求めている相手が、いつまでにしてほしいとおもっているか、正確につかみ、完成品のイメージ、精度とあわせてきちんと理解する。 本質の多くは必要な事実を簡潔にまとめたり、伝えたりするということです。相手に聞くだけではなく、自分からこのくらいが相手にとってちょうどいいのではないか、と提案できるようにであれば、一番よいです。
c.業務範囲の誤認
大幅な人事異動があったり、人事と現場の認識がすれ違ったり、といったことは、外部環境の変化に対応して組織再編をするドタバタの中で起こりがちです。
業務量が増加したら、人を増やせばいいのですが、新事業の採算が取れる見込みが立つまでは、現員でやってほしい、ということもよくあります。
あるいは、業務全体の成果見合いでコスト削減をするための手法として、明らかに少ない人数で、実力行使の業務削減を狙っている場合もあり得ます。
急に需要増があったとしても変化が、一時的なものかどうか不明、というときも、直ちに人の手当はしないことがあります。
こうした時に状況を的確に見極めるためには「本社の戦略」や「部署の戦略」、を把握しておくことが欠かせません。
何が期待されているのかを、冷静に把握して、目的にかなう情報を最速であげ、見通しをもって業務量のコントロールをすることを、しっかりとやりぬきましょう。
d. 人に任せられない(抱え込み)
誰でも、一人でできることには限りがある。どんなに優秀で仕事が早い人でも、分担して仕事を進めない限り、できる量には限界があります。
ということを、たぶん誰もがわかっていると思いますが、人に任せるとなると別。
大切なものを大切にするために人に任せる、と考えると、だれでもできます。
人に任せられない理由を「人を信じられないからだ」とか、「完璧主義だからだ」とか、考える人もいますが、実は
大切なもの(満たすべきあなた自身の価値観)がわからなくて、任せる必要を感じていない、という人が多いです。
e. 疲労による視野狭窄
長時間労働を続けていれば、症状の多寡はあれ、必ず慢性疲労になっています。睡眠不足、慢性疲労の結果、「変える」ことが億劫になります。改善するための変化も含めて、新しいことを始めることをストレス、と感じてしまうのです。
1-2 時間外労働の結果
時間外労働が長期間続くと、心身に影響がでます
a.睡眠不足
朝7時におき、8時出勤、9時から18時(昼休み1時間を含む)が定時としましょう。仮に21時まで残業したらどうなるでしょうか。家につくのが22時、着替えや入浴を含めて就寝は速くて23時、気分転換のために動画を見たり、ニュースをチェックしたり、一杯飲んだりすれば、寝るのは24時、25時になるでしょう。炊事洗濯掃除などの家事を自分でする人は、買い物もしなくてはなりませんし、衣類のケアも必要ですし、しっかりした食事を少なくとも一日1-2回はとらないと身体が持たないでしょう。必要な生活時間を確保すれば、削るのは睡眠時間しかありません。
ちなみに日本人の睡眠時間は男女とも世界最短レベルです。
b.慢性疲労
仕事時間が長引けば、心身ともに緊張状態が続くので、その分、疲労がたまります。
休憩も睡眠も多く必要になります。
長時間労働により、疲労の増加に見合った休憩時間や睡眠時間が十分とれなくなるので、疲労が回復せず、脳は不快な刺激に敏感になりイライラ、集中力低下、認知、判断力の低下を起こします。
運動時間も取りにくくなり、同じ姿勢が続いたり、全身の循環も悪くなるので、筋力や筋、関節、腱、筋膜の柔軟性の低下、こわばり、などが起き、節々の痛み、肩こり・腰痛などを引き起こします。姿勢や眼精疲労による頭痛も起きやすくなります。
ストレスにさらされていると、体たんぱくの分解が亢進します。睡眠不足は細胞の糖代謝低下を起こし、免疫力も低下させます。
c.自律神経障害
いわゆる自律神経失調です。交感神経と副交感神経は、一日の中で睡眠と覚醒のリズムにあわせて主役を交代しながら呼吸、体温、循環、消化など本人が意識しなくても自動統制します。まとまった睡眠がとれないと、リズムを乱し障害を起こします。
d.恒常化している人、恒常化させない人の違い
長時間労働が慢性化している人は、すでに睡眠不足による、心身への影響が出ています。それによって、思考力や判断力をうしない、逆に時間外労働の慢性化を起こす状況もめずらしくありません。
とにかく一日を終えることが精一杯で、計画を立て、時間管理をする意識が薄れていたり、あきらめて、努力をしなくなっていたり、するのです。
上記の「疲労による視野狭窄」 と表現したのがその状態です。
視野狭窄は、本来なら活用すればよい、業務遂行のための支援(人の協力や効率化のためのツール)などを遠ざけ、ますます悪循環に陥らせます。
一方で、恒常化させるつもりがなく、一定の目標を達成するまでの暫定的なものとしている人の場合は、主体的に時間管理をしているので、コントロール感を失っておらず、心身への悪影響も出にくくなっています。
2 時間外労働を減らすための対策
2-1自分の時間を大切にする意識をもつ
「命とは、あなたが使える時間のことです」といったのは、日野原重明さんです。(「いのちの授業」(ユーリーグ)「十歳のきみへ 九十五歳の私から」(冨山房インターナショナル))
命の長さを考えると、どんなに若くて、健康でも、自分の時間は、限りあるものだと気づくでしょう。自分のためだけでなく、大切な人のためにも使いたいはず。
残業続きの毎日から本当に抜け出したい、自分の時間を取り戻したい、という意志がはっきりしていれば、以下のことを実行に移す決意も固まるでしょう。
まずは、毎日の出社時間と退社時間を自分で決め、その範囲で精一杯、能力を発揮し成果をあげる。
これが出発点になります。
2-2時間外労働に関する基本知識を得る
いわゆる命令された時間外労働は断れる場合と断れない場合があります。
それを知っておくのも大切です
時間外労働をするには、その前に業務命令をうけるわけですが、時間外労働の業務命令を受けた時、
・労働者と会社の間で36協定が締結されていて
・就業規則で、時間外労働の命令に従わなければならないことが規定されている場合は、
正当な理由がない限り、ことわれません。個人的な理由で断ると、就業規則違反となってしまいます。
ただし、月100時間を越えるなど、異常な長さの時間外労働が日常的に強いられている場合、また、体調不良、妊娠、育児や介護など、正当な理由があれば断ることができます。こうした場合は、理由の根拠を示すなど、適切に対処できるよう、前もって準備をしておきましょう。
参考:「正当な理由」があれば残業は断れる!断れる4つの理由と解雇される場合
付録)時間外労働の規制
週40時間を超えると、脳血管疾患や心筋梗塞などの虚血性心疾患の発症率が高まること研究結果が報告されています。このことから、時間外労働に法的規制ができました。
大企業は2019年4月から、すでに上限規制がかかっていますが、中小企業も2020年4月から上限規制が適用されます。
時間外労働(休日労働は含まず、法定の)の上限は、原則として、月45時間・年360時間となり、 臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできなくなります。
原則である月45時間を超えることができるのは、年6か月までです
・時間外労働+休日労働 ・・・月100時間未満、2~6か月平均80時間以内
時間外労働 ・・・年720時間以内
時間外労働が100時間を超えると、健康障害が発生した場合、時間外労働との関係が強く疑われるので、あらかじめ、医師による面接指導等を行うことが義務付けられました。
付録)相談先
時間外労働についての相談をすることもできます。
公的なところとしては
事故災害が発生したり、法令違反については
があります。このほかに社会保険労務士、弁護士、各自治体の労働相談窓口もあります。
2–3 必要な能力、体制
ここまで、時間外労働の原因と対応、そして時間外労働の結果についてみてきました。そして、減らす決意、法的なことも含めた基本知識を得た上で、最後にやることは、周囲との連携です。
業務分担の決定権を持つチームマネージャー、チームメンバーにあなたの決意をどう伝え、実現に向けて協力していく上で必要なものがあります。
それは、コミュニケーション力、業務遂行力、自己肯定感、理解者、支援者、コーチです。
3 まとめ
時間外労働がもたらす影響を知り、自分のために減らす決意をしたほうが良い、と思ったら、まず、しっかり「時間外労働を減らす」と決めましょう。
そして、作戦を立てるため、情報収集、現状分析をします。さらに、必要な能力、体制を整え、戦略を立て、実行して行きましょう。